第2章 学級担任としてのスタート

 担任こそ教師としての最高の生きがいだと私は思っています・・・・。
担任としてどのようなことを考えたらいいか、次の項目について考えてみたいと思います。
 A 4月のスタート時にどのようなことをやるのか。
 B 班ノートや個人ノートをどう書かせるか
 C 学級通信の発行について。
 D 保護者とどのように協力していくか
 E 学校行事への取り組みについて。
 F 班をどのようにして作り、どのように動かしていくか。
 G ツッパリ君たちとどう対処するか。

A 4月のスタート時に・・・
 最初にクラスの子供たちと出会う日をどのようにするかということはとても大切です。
@ 生徒の氏名を前日までに全部覚える。
 私は前の日までに、夜中過ぎまでかかっても完全に覚えるようにしています。新入学生の場合は特に大変だとは思いますが、初めて出会う先生が自分をフルネームで呼んでくれるということはとてもうれしいことなのです。名前を呼んだら、手を挙げて元気に返事をしてもらいましょう。この小さなやり取りの中でボス的な子供、リーダーになりそうな子供、周りからなんとなくさけられている子供などが誰なのかをおおざっぱにつかむことができます・・・・。
A 担任としての自己紹介                3/18
 私は自分の中学時代の話を中心にして話をしてきました。私は小さい時の交通事故がもとで足首が少し曲がっていること。そのことが原因でよく友達からからかわれ、とてもつらい思いをしたし、よくそれが原因でけんかをして怒られてばかりいたのです。そんな時、いつも私の心の痛みを理解しようとしてくれていた先生や私を単なる「ひねくれもの」としてしか扱ってくれなかった先生などのことも正直に話しました。どんなことでもいいから、中学時代の話をしてあげると子供たちは興味を持って聞いてくれます・・・・。「中学時代は、みんなと同じように苦しんだり悩んだり、先生に思いきり怒られたりしていたんだよ…。」
 それから自分の家族のことをできるだけ詳しく話をすることにしていました。やがて子供たちと正面から向かい合わなければならなくなった場面では子供の家族のことにも関わらなければならないことになるかもしれませんので・・・・。(3/20)
B学級通信第1号の発行
  学級通信の狙いはなんだと思いますか。一つ目は担任の気持ちを生徒に伝えることです。さまざまな生活を体験してここまで成長してきた子供たちが、1日や2日で簡単に担任の気持ちを理解するなんてとうてい無理なのです。でも、繰り返し繰り返し私の気持ちを伝え続ければ必ず心は通じると信じて書き続けることが必要なのだと思います。やがてボディーブローのようにじわじわと効いていくのです…。「先生は何を言いたいのかわからない。」とか、「先生は、私たちの心とかけ離れたことばかり書いている。」というような批判ばかりがはじめのうちは耳に入ってきます。そればかりか、配った学級通信の半分以上の紙がごみ箱に捨てられていたこともあります…。第1号のタイトルとしては次のようなものが、考えられます。『支え合おう!協力し合おう!』『みんなが楽しくなるようなクラスを作ろう!』こんなタイトルにしたこともあります・・・・。『3年B組金八先生みたいなクラスを作ろう!』うまい言葉が見つからなくても、とにかく書き続けることが大切なのです・・・・。。
 第2の狙いは、何なのでしょうか。それは、保護者の人たちに教師の気持ちを伝えるということです。教育とは、車の両輪のように教師と保護者が協力し合って子供たちを育てていくことだと思います。だからこそ保護者の理解を得ることが何よりも重要なのです。学級通信の文章は子供向けに書いていきますが、やがては親も目を通すと思いながら、私の教育への思いを書き続けました。
C個人ノート(個人日記)の提出を要求します。
 学級開きの日に、生徒数分のノートを自費で購入して一人一人に配ります。たいていの場合、よくても数冊しか翌日に提出されないということを覚悟しながら(3/21)、「このノートにはどんなことを書いてもいいんだよ。秘密は絶対に守るし、先生も一生懸命考えて返事を書くから…。」そう言っても翌日に1冊も提出されない年もあります。でも、粘り強く訴え続けます。時には1週間後にもう一度全員分のノートを買ってもう一度配った時もあります。やがて、友達にいじめられていることを書いて、そっと職員室の私の机の上においていく生徒や、クラスへの不満をぶちまけてくる生徒ができます。私への文句(不満)を、1ページ分ぎっしりと書いてきてくれた生徒もいました。私は、必ず毎日それを家に持ち帰って、夕食後赤ペンで返事を書きました。日記の返事だけは、学校で書いていて途中ほかの用事でどこかに置き忘れたら大変なことになると思うし、それこそじっくりと考えて返事を書かなければならいものなのですから…。特に中学生は、自分のことを書くのが大嫌いです。でも、絶対に誰かに訴えたいというものを持っている生徒もたくさんいると私は信じています。個人ノートは担任として必要なものだと思います。

 ここでちょっと話を元に戻します…。私が新卒時代に、学生時代の親友からの一言で立ち直ったと書きました。その言葉を書いてみたいと思います。彼は、大学の2年後輩でしたが(現在の”ヒコみずのジュエリーカレッジ”を創り上げた男です。)
彼は、私の家まで来て、こう話してくれました。『先輩!今ここにコップに半分の水が入っているとき、それをどう考えますか?まだ半分しか入ってないと考えますか、それとももう半分も入ったと考えますか?』と・・・。私は『この数か月必死になって生徒たちのために頑張ってきたことが、まるでザルで水をすくっているように感じる。半分どころか10分の1も水が入ってないように感じる。』と答えたら、『10分の1でもいいじゃないですか。先輩には教師という職業があっていますよ!』と言われ、もう一度自分のその時の教え子たちのことを考えてみたらとても彼らがいとおしくなって、もう一度教師として頑張ろうと思い直したのです・・・・・。


B 班ノート、個人ノートをどう書かせるか。
 班ノートは各班に1冊ずつ配り、必ず家で書いてくるように言います。そしてその時親にも感想を書いてもらう…。どうしてもかけない場合は、サインでも印鑑でもいいといいます。約束は絵をかいても何でもいいから、親の感想も含めて、1ページは必ず埋めてくること。絶対に人の悪口は書かないこと(担任への文句は例外とする)もちろん初めのうちは親の感想はおろか印鑑すらなかなか見つけられませんでした。生徒の文も、「今日はつまらなかった。」の1行といたずら書きだけで提出された場合もありました。でも、私は毎日のように生徒たちに言いつづけました。『自分の班のこと、自分のクラスのこと、(3/22)、こんなクラスにしたい、こんな自分になりたい…。何でもいから書いてきてほしい、みんなと一緒になって最高のクラスを作っていきたいんだ。』と、そして保護者の皆さんにはとにかく子供たちをほめてあげてほしい、どんな小さなことでもいいからわが子の、そして子供の友達の素晴らしい点を見つけて書いてほしいとお願いしてきました。
 私は、空き時間にこの班ノートの返事をせっせと赤ペンで書いて、放課後次の当番の生徒に渡しました。やがて2ページぎっしりと書いてくる生徒が出てきたり、保護者からの励ましが次々と寄せられてくる年もありました。(この班ノートの中身が、私の学級通信の記事の主なものになるのです…。)
以下は、次のボタンをクリックしてください。